アジアが参入し買取額をドンと下げた。
自然エネルギーの固定価格買取制度が始まり市場は賑わっている。
毎日のように「メーカーがソーラー事業に参入」といった記事が出回っている。
再生可能エネルギーの推進という側面しか見ていないと、あたかも効果的な国策に見えるし、市場の活性化効果も得られており、出だし順調といった印象を受けるかもしれない。
しかし、固定価格買取制度は多くの側面を持った制度である。
ドイツで初めて採用された制度で、その背景に遡る。
ベルリンの壁が崩壊し社会主義国であった東ドイツは西ドイツとともに統一国家として歩みだした。
これは1989年の話だがドイツで固定価格買取制度が導入されたのはその翌年1990年からである。
当然ながら、旧社会主義国家が突然資本主義経済に放り込まれたため、あらゆる産業が淘汰されかねない状況となった。
これを予期していたドイツ政府は旧東ドイツの農家にソーラー発電設備を導入させた。
その際に、発電したエネルギーを3倍の額で買取するという制度とセットにし、結果的にソーラー発電は爆発的に拡がっていった。
一方で、買取に要する資金はどこから調達したか、というと西ドイツのエネルギー消費産業に対して、一律に課金したのである。
これにより、貧富の差が激しかったドイツ内で、利益再配分を行う仕組みを作った。
この制度はドイツ国内で資金が流れ、国家安定化の効果が得られた。
これが、ドイツ版の固定価格買取制度の本質だ。
さらに、旧東ドイツでは、獲得した資金を元に、ソーラーメーカーが誕生し、技術力を向上させていった。
そして、アジアのソーラーが参入してくるや否や、買取額をドンと下げた訳である。
つまり、ドイツの場合、手段であり、再生可能エネルギー推進も手段であった。
最終目的は利益再配分、国内経済の平準化と産業育成が目的だったのである。
